Webサイトで成果を出したいと考えている方であれば、おそらく「SEO対策」という言葉を知らない方はいないでしょう。私もメディアを運営されるお客様と話す時に、お客様側から「SEO対策ってどうすればいいんですかね?」と相談されることもあります。
もちろんGoogleの検索順位で1位になればかなりのWebサイトへの流入が見込めますし、誰もが疑う余地もなくSEO対策をしたくなるのもうなずけます。
しかし、SEO対策をすればするほど不都合な真実にたどり着くことに気がつきました。今回はそんなお話ができればと思います。個人の見解ですので、様々な意見があることは承知でこの記事を書いています。
まずは結論をお話します
まず結論からいいますと、「検索エンジンに最適化」するのではなく「ユーザーが見たい、知りたいと感じている情報をユーザーにとって理解しやすい構成に最適化する」ことが究極のSEO対策であると考えています。つまり「Engine」ではなく「Experience(体験)」の最適化です。
SEO対策とは?
まず、SEO対策とは何かをご説明します。
SEOとは「Search Engine Optimization」の略で、日本語に直すと「検索エンジン最適化」を示します。
そしてSEO対策とは、検索エンジンのオーガニックな検索結果において、特定のウェブサイトが上位に表示されるよう、ウェブサイトの構成などを調整することを指します。
具体的にどの検索エンジンに最適化するのか?
一般的に、Googleの検索エンジンに最適化するようにサイトを作っていけば、自然に他の検索エンジンでも評価されるコンテンツであると認められ上位の検索結果を狙えると言われています。というのも、Google以外の検索エンジンも内部のアルゴリズムが似通っているためですね。
SEO対策に対する強い疑問
以前お客様とやり取りしている時に、このようなご相談を受けました。

今会社でコラム記事を作成していて、この記事とかはSEO対策に特化した会社のライターさんに書いてもらったんですよ。

そうなんですね。それにしてもこの記事だけすごく機械的で読みにくいですね・・・(ん、普通の文章なのにpタグじゃなくてh3で囲まれているぞこれ大丈夫なのか)

やっぱりそう思いますか?実はベースとなる文章とかを送って画像とかもいい感じのものを使ってもらうように頼んだのですが、「SEO対策という観点からみるとこの構成が一番評価されるので」の一点張りで融通が効かなくて、、、結局検索結果も上位に上がっていないんですよね。

えっ?!
全部のSEO対策業者の方がこのような会社ばかりではないのですが、今回はたまたまこのような事例に会いました。SEO対策以前の問題ではあるのですが、まずこのような疑問を持ちました。
検索エンジンに読んでもらいたいのか、人に読んでもらいたいのか。
我々が検索エンジンに向いている一方、検索エンジンは人に向いている
ところで、「Googleが掲げる10の真実」はご存知でしょうか?これはGoogle社設立から数年後に策定されたもので、2020年現在でもGoogleが重要視している思想です。
- ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
- 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
- 遅いより速いほうがいい。
- ウェブ上の民主主義は機能する。
- 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
- 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
- 世の中にはまだまだ情報があふれている。
- 情報のニーズはすべての国境を越える。
- スーツがなくても真剣に仕事はできる。
- 「すばらしい」では足りない。
今回この中で最も重要視しているのが、「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。」です。
Google は、当初からユーザーの利便性を第一に考えています。新しいウェブブラウザを開発するときも、トップページの外観に手を加えるときも、Google 内部の目標や収益ではなく、ユーザーを最も重視してきました。Google のトップページはインターフェースが明快で、ページは瞬時に読み込まれます。金銭と引き換えに検索結果の順位を操作することは一切ありません。広告は、広告であることを明記したうえで、関連性の高い情報を邪魔にならない形で提示します。新しいツールやアプリケーションを開発するときも、もっと違う作りならよかったのに、という思いをユーザーに抱かせない、完成度の高いデザインを目指しています。
https://www.google.com/about/philosophy.html?hl=ja
解釈は様々ですが、「ユーザーにとって見やすく価値のあるコンテンツは、検索エンジンの進化によりいつの日か評価される時が来る。」とも読み取れると考えています。
そこから見える不都合な真実とは、「我々が検索エンジンに向いている一方、検索エンジンは人に向いている」ということです。

検索エンジンとWebサイトの目的が一致していない場合、このような図の状態になります。
検索エンジンは日々「ユーザーの利便性を第一に考えて」進化している
SEO対策の中でも更に「ブラックハットSEO」と「ホワイトハットSEO」に分類されます。
ブラックハットSEOとは、「質の低いコンテンツの検索順位を不正な方法によって上昇させるテクニック」を指します。
具体的には以下のような内容です。
- 被リンクの大量設置
- コピーコンテンツ
- 隠しテキストや隠しリンク
- キーワードを不自然に詰め込んだ文章(ワードサラダ)
- 検索エンジン向けの特別なページを表示する行為(クローキング)

心当たりがある方もいらっしゃると思いますが、実は昔はこの手法で検索結果上位にさせることも可能でした。ですので今でもこの手法が通用すると考えている業者さんの中には、ブラックハットSEOでSEO対策を実施する場合もあるようです。
しかし検索エンジンは「当初からユーザーの利便性を第一に考えています」とありました。パンダアップデートやペンギンアップデートといったコンテンツ内容の品質を評価するアルゴリズムの進化により、上記のような手法の多くは、現在ほとんど通用しません。その証拠に、上記の内容をGoogle自身がガイドラインとして示しています。

もう一つのホワイトハットSEOとは、「検索ユーザーが欲している情報をコンテンツ化して公開し、有益なコンテンツを増加させていって潜在顧客を広く集客する」ことを指します。
具体的には以下の内容です。
- 自社の商品・サービスの潜在顧客が何を求めているのかを分析する
- どのようなキーワードで潜在顧客が検索するかを予測する
- そのキーワードで検索する人のニーズを満たせる内容のページを作成する
ホワイトハットSEOは名前こそSEOですが、主語が「検索エンジンに」ではなく「ユーザーに」に変わっている部分が大きなポイントです。
これは、私達の目的と検索エンジンの目的が一致している状態とも言えます。先程の図を、ユーザーに最適化した状態にした場合以下のようになります。

そう、検索エンジンとWebサイトの目的が一致するので、同志になれるのです。
つまり検索エンジンは、そんな同志であるWebサイトをより評価するようになるということです。たとえばGoogleは、いかにユーザーが求めている情報に最短でたどり着けるかを求めて検索エンジンの開発をし続けています。
つまり、Googleが求めていることを共に実現しようと考えてブログやWebサイトに記事を書いていけば、小手先のテクニックなんていらないというわけです。ここでいう小手先のテクニックとは、ブラックハットSEOのような検索エンジンを向いてユーザーを無視したコンテンツを無理やり評価させようとするテクニックを指します。
ドメインの評価が重要だと思いますか?
たまにドメインの評価が重要だという話を聞きます。もちろん、Googleが普通のサイトより企業サイト(co.jpドメインなど)のほうが信頼されるため、評価が高いということも事実でしょう。
では、「ipad セルラーモデル」で検索してみてください。

確かにAppleやBiglobeという大手のサイトは上位ですが、私の記事は3位に入っています。そして、楽天やPHILEWEBといった企業が運営しているサイトよりは上位に来ていることがわかります。
つまり私のような個人ブロガーでも、しっかりとした記事を書けば大手の企業サイトやメディアサイトにも検索順位で勝てる可能性があるということです。
究極のSEOとは、検索エンジンと目的を共にすることであり「Experience」を最適化することではないか
検索エンジンに評価されたいという考えが先行し、もしかしたら自社のサイトやブログの内容が蔑ろになっていたりしませんでしょうか?
私は無理をしてまで検索エンジンを向いてコンテンツを作る必要性はなく、むしろ最短でユーザーの悩みを解決するようなコンテンツはどうしたらいいのかという部分に注力することが最もSEO対策になると考えています。
また、検索エンジンと目的を共にすることで、同志として認められるにはどうしたらいいか、を突き詰めて考えていくと最終的にユーザーが重要ということにたどり着きます。
私は「Engine」ではなく「Experience(体験)」を最適化することが重要であると考えています。